2016年8月31日水曜日

書体デザイナー視点で見る街の文字「まちモジ」

【本の感想】
主にデザイン関連の本の感想を書こうと思いますが、技法よりも考え方やデザインの基礎部分を鍛えるための本が多いです。

グラフィック社サイトより引用


まちモジ 日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか? 
  • 著者:小林章
  • 発行所:グラフィック社
  • 2013年11月25日第1刷発行
評価5 ★★★★★


書体デザイナーの小林章さんが海外で見つけた色々な書体を本人が撮った写真と共に紹介している本。
小林さんは普段ドイツにいる。


サブタイトルの
「日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?」を
本のはじめの方でさっそく謎解きをしている。


ネタバレするが、
丸ゴシックが使われているのは手書きで看板を書いていたなごりらしい。


看板屋さんの手書き文字は、
角ゴシックよりも丸ゴシックの方が
手数が少なく早く書けるとの事だ。


実際に看板屋さんが書いている様子が写真に紹介されていて面白い。


筆でキレイに文字を書けたら気持ちいいだろうなぁと思った。
かっこいいなぁと。


本の表紙にも看板屋さんが書いた「まちモジ」の字が帯の裏に隠れている。


日本で使われている看板の例が紹介されていたが、
駅もバス停も駐車禁止の文字も丸ゴシックだった。


あまりにも溢れすぎていて、
丸ゴシックの看板他が日本独特のものだとは気がつかなかった。


英字は角ゴシック体のHelveticaで、
日本語表記だと丸くなっちゃう。


駐車禁止も可愛らしい丸ゴシック。



この本は他にも
ヨーロッパ、中国、スイスなど様々な街で
見つけた書体についての気付きが
小林さんのコメントとともに掲載されている。


本のあとがきに
「手書きの看板にはデジタルでは出せないチカラが絶対にある」
と書かれていた。


すごく共感した。


グラフィックデザイナーを始めて実感していることがある。


人間の感覚に基づき、手が関わった作品の素晴らしさ、だ。